#14 告白
「今、なんて……?」
碧くんは戸惑ったように私の顔を見た。
「何回も言わせないで」
「ごめん。でも、信じられなくて。だって、俺が陽葵を好きになってもいいか聞いた時、陽葵はありがとうだけしか言わなくて……」
「あの時はまだ自分の気持ちがわからなかった。でも、今はわかってる。相性1%だったら傷つかないと思ったのに、すっごく傷ついた。傷ついてはじめて自分の気持ちを知ったんだよ」
「傷ついたって、俺が陽葵を傷つけた……?」
碧くんは、ひどく辛そうな顔をした。
「別に碧くんが私を傷つけたわけじゃない。私、碧くんと結愛ちゃんが両思いだって知って、勝手に傷ついて……」
「えっ……ちょっと……」
碧くんは何かを伝えようとした。でも、もう自分の気持ちがいっぱいっぱいで碧くんの言葉を聞く余裕がなかった。
「今までありがとうね。こんな私に付き合ってくれて……。でも、ごめん、もう無理……。耐えられない……」
そこまで言うと、私は駆けだしていた。
シェアハウスの自分の部屋に戻った私は、涙が止まらなかった。
「恋ってつらい。すごくつらい……」
自分が思わず告白してしまったことへの後悔と、でも、あの時は気持ちが抑えきれなかったからしょうがないって気持ちがない交ぜになる。どうすれば良かったんだろう。

Illustrated by 大宮いお
私が泣きじゃくっていた時だった。扉をノックする音が聞こえた。
「誰……?」
碧くんかな? だったら、困る。どういう顔して会ったらいい?
私が戸惑っていると再びノックの音がした。
私は思い切って扉を開けた。