#11 相性99%
碧くんと結愛ちゃんは、テラスで話している。
こんな深夜に、何を話しているんだろう。
私は2人の様子が気になって、のぞき見をした。のぞきなんて趣味がいいとは言えない。でも、目を離すことができない。
「あのね、実はこの番組のAIシステムを使わせてもらったんだ」
結愛ちゃんの声が聞こえた。
「ちょっとした遊びのつもりで、仲良くなったスタッフさんに頼んだんだよ。でも、使ってみたら、これ遊びじゃすまないなって」
結愛ちゃんはもったいぶったように言うと続けた。
「番組の出演者の相性を、いろんな組み合わせで診断してみたんだ。そしたらね、私と碧の相性が99%だったんだよ」

Illustrated by yomunashi
結愛ちゃんの言葉に、碧くんは驚く。
「本気か?」
「すごいでしょ?」
「ああ、まあな」
「でね、思ったんだ。やっぱり相性って大事だなって」
結愛ちゃんは、大きく深呼吸すると真剣な表情で続けた。
「私は相性1%の蒼太と、デートやミッションを重ねてきた。でも、ずっとケンカばっかりで……。もう、この番組で恋愛は無理だなって思った時に、碧との相性が99%だってわかって、それからは碧を目で追うようになったんだ。でね、碧を見ているうちに気付いた。私は碧が合うなって……」
結愛ちゃんが何を言いたいのかわからなかった。
「驚かないで聞いてね」
結愛ちゃんの言葉に、私は息を飲んだ。
「……私は碧が好き」
結愛ちゃんの突然の告白に、私の頭の中は真っ白になった。