ILLUSTRATION NOVEL 相性1%の恋 — 相性1%で恋愛は成立するのか…?

#10 これは恋?

作:舟崎泉美

「今日、一緒に過ごして、これまでと違った陽葵が見えた気がした。今までは友だちみたいなところもあったと思う。でも、もうこの関係は終わりにしたい。改めて言う、陽葵を好きになってもいいかな?」

碧くんは真剣な表情で私を見つめて言った。突然のことに頭がパニックになる。
碧くんはきっと、私に恋愛をはじめる覚悟があるか聞いてるんだと思う。
正直、自分の気持ちがもやもやしてわからない。けど、あと一歩、踏み出したい気持ちもある。なのに出てくる言葉は、私の気持ちとはかけ離れていた。

「本当にうれしいよ。ありがとう」
碧くんは私の言葉を聞いて寂しそうに笑った。胸がぎゅっと痛くなった。

その日の夜、部屋に戻った私は無気力だった。
私だって碧くんと、友だち以上になりたかった。なのに、なんでありがとうしか言えなかったんだろう。思ってることもうまく表現できなくて、もっと距離を近づけたいのに、いつもなんだかこわくって。今の関係が続くのが良いって思ってる。向き合うことから逃げ続けたのは自分なのに、なんだか胸が苦しくて、うまく息ができない……これは恋なのかもしれない。

#10 これは恋?

Illustrated by 眩しい

「恋って苦しい」

その時、寂しそうに笑った碧くんの笑顔が頭に浮かんだ。
このままじゃダメだ。
もっと、下手でも不器用でも碧くんにちゃんと想いを伝えないと。

私は座っていたベッドから立ち上がって、部屋を出た。
「碧くん、部屋にいるかな?」
私が碧くんの部屋へ向かっていると、テラスへ行く碧くんの後ろ姿が見えた。
こんな時間に、どうしたんだろう?
声をかけようとついてくと、碧くんが誰かと話しはじめた。
誰かと待ち合わせしたのかな? ……って、結愛ちゃん!?

#10/16

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眩しい

眩しい

2019年より活動を開始。
音楽や書籍関係のイラスト制作がメイン。
ボカロPや歌い手の他、バンドやVTuber、声優やアイドルなど幅広くMVイラストを制作している。

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