ILLUSTRATION NOVEL 相性1%の恋 — 相性1%で恋愛は成立するのか…?

#07 心の距離

作:舟崎泉美

「きゃああああ!」
数日後、私たちは遊園地に遊びに来ていた。

「こわかったね!」
ジェットコースターを降りた私は、足下をフラつかせながら碧くんに声をかけた。
「陽葵、絶叫だったな!」
碧くんも笑顔で応える。
「ねえ、少し落ち着きたいから、次は観覧車にしない?」
私が言うと、碧くんがふざけて返した。
「お化け屋敷は?」
「ちょっとお! また、叫ばせるつもりなの。声が枯れちゃうんですけど」

#07 心の距離

Illustrated by 新水(にいな)

私たちはあれからデートを重ね、ミッションを重ねている。碧くんとの仲は、表向きは順調だ。でも、上辺だけな気がする。だって、深い話はしてないから。
だけど、私たちはこのままで良い気がしていた。やっぱり、私たちは相性1%なんだから、はじめから合うわけがなかったんだ。変に関係がこじれるぐらいなら、今のままでも良いんだって、何度も自分に言い聞かせる。

「「「かんぱ~い!」」」

その日の夜はシェアハウスの住民達でパーティーをした。
シェアハウス生活がはじまって一ヶ月半の記念日だった。
「今日の夕飯、誰が作ったの?」
碧くんが聞くと、結愛ちゃんが元気よく答えた。
「はい、私です! メキシカンなの~」
結愛ちゃんの料理をみんな「おいしい」って口を揃えて言いながら食べてた。

碧くんとみんなと過ごす、今がとても楽しい。
私と碧くんは相性1%でも友だちとしてならうまくやっていける気がしていた。でも、友だちじゃ嫌な自分もいる。

その日の夜だった。
「久しぶりに2人で話さない?」
私は、突然、結愛ちゃんに呼び出された。

#07/16

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新水(にいな)

新水

東京在住イラストレーター。
瞬間を切り取るような透明感のあるイラストを描く。
書籍やMV、広告を中心にイラストを提供。

X@76oi