ILLUSTRATION NOVEL 相性1%の恋 — 相性1%で恋愛は成立するのか…?

#05 カップル対抗料理対決

作:舟崎泉美

「蒼太と何を作るかで揉めちゃって~!」
蒼太くんっていうのは、結愛ちゃんの相性1%のパートナーだ。

「私は華やかなイタリアンとかがいいなと思ったんだけど、あえての逆張りで、昔ながらの和食がいいって言うんだよ。おにぎりとか、卵焼きとか、煮物とか。オシャレな配信番組なのに~」
結愛ちゃんは、蒼太くんとうまくいってないみたい。

「それで一人で買い物に来たの?」
「うん、そういうこと」
そこまで言うと結愛ちゃんは、大きなため息をついた。
「やっぱり、相性って大事だよね。1%って、うまくいきっこないよ」
結愛ちゃんは、悲しそうにつぶやいた。

「おいしそうな匂い! んっ、ちょっと焦げ臭いんじゃないか?」
「わっ、火止めなきゃ!」
スーパーから戻った私たちは、早速、ロモサルタード作りに挑戦した。

#05 カップル対抗料理対決

Illustrated by けけ

キレイに盛り付けたロモサルタードと白米をワンプレートにのせて、パクチーを飾り付けてできあがり。
目を離した隙に少しだけ焦がしてしまったものの、なかなか良い感じだ。

「うん、すごくおいしそうだな!」
碧くんもうれしそうに顔をほころばせている。
私たちはできあがった料理をリビングに持って行く。
すでに他のカップルたちも料理を並べていた。

「え~っ、結愛ちゃん! イチゴの冷製パスタも、カプレーゼも、フリッタータも全部一人で作ったの?」
結愛ちゃんたちカップルは、豪華なイタリアンだ。

「まあ、ちょっとは手伝ってもらったけど、ほとんど一人だった。料理が苦手なんだって」
結愛ちゃんは、蒼太くんに聞こえないように小声で愚痴る。
「一人でなんて、本当にすごいよ……!」
私も蒼太くんに聞こえないように、結愛ちゃんを褒めた。
結愛ちゃんもまんざらでもなさそうな顔で、笑顔を向けてくれた。

「ありがとうね! 陽葵たちのロモサルタードもすごくおいしいよ。2人で作ったんでしょ? 陽葵達は相性1%でもうまくいってるみたいだね」
「うん、まあ、なんだんかんだね」
正反対だからこそ、うまくいくこともあるってわかった。それって、すごく大事なことだと思う。

私たちは全カップルの料理を試食した上で、自分の好きな料理に一人一票投票した。
料理対決を制したのは……結愛ちゃんたちカップルだ。
「えっ、私!? やったあ!」
結愛ちゃんは、笑顔で喜んでる。

ただ、表向きはうれしそうだけど、内心は複雑だと思う。だって優勝したご褒美が、相性1%の相手と『海の見えるスパ』で2人きりの時間を過ごすことなんだから……。

私はちらっと碧くんを見る。
もし、私たちが優勝したらどうだった……?
碧くんとのスパは楽しかったかな……?
私と目が合った碧くんはにっこりと微笑んだ。
私は急に恥ずかしくなって目を反らした。
この時、はじめて碧くんを男性として意識した気がした。
私は、碧くんのこと、気になりはじめてるのかもしれない。

その日の夜だった。
コンコンっと、私の部屋の扉がノックされた。
「こんな時間に誰……?」

#05/16

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けけ

けけ

黄色大好き、イラストレーター
多摩美術大学 グラフィックデザイン学科卒業
デザイン制作会社にてグラフィックデザイナーとして勤務
退社後フリーランスのイラストレーター・デザイナーとして活動中!女の子とうさぎみたいなキャラクターを描いています!

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