#02 出会い
背が高くて笑顔が素敵な人って、結愛ちゃんの好みのタイプだよ。
「はっ、はじめまして。よろしくお願いします」
私の予想していた男性とは大きく違っていた。
それもそうだよね。相性1%だもんね。自分に合いそうな人とはパートナーにはならないよね。
私はふと結愛ちゃんを見た。
結愛ちゃんのパートナーは、地味だけど優しくておだやかそうな人。どちらかと言えば、彼の方が私に合いそうだけど……。
「どうしたの? ぼーっとして」
「あっ、ううん。なんでもない」
私は、慌てて彼に向き合う。目が合うと彼は微笑んで自己紹介をはじめた。
「俺は葉月碧、25歳。趣味はサッカー。中高とサッカー部で、今も社会人サークルでサッカーやってます」
「サッカーかあ、素敵だね」
「サッカー好きなの?」
「あっいや、ごめんなさい。そんなに詳しくなくて……」
思わず相づちを打ってしまったけど、サッカーについてはそんなに知らない。
「いや、いいんだよ。謝らなくて。えーっと……なんだっけ、ああ、実は、幼なじみと長く付き合ってたんだけど、うまくいかなくって。でも、いつまでもふさぎこんでちゃいけないなって思って参加しました! 次は陽葵の番!」

Illustrated by tabi
えっ、いきなり、呼び捨て。距離の詰め方が私と違う……って、そんなこと考えてないで、まずは自己紹介しないと。
「えっと……小鳥遊陽葵です。24歳。趣味は読書で、恋愛小説にハマってます。でも、恋愛は初心者で……恋に憧れてるタイプっていうか……。恋したいなって……」
私はしどろもどろになりながら、なんとか自己紹介を終えた。
「恋愛小説かあ」
碧くんは、微笑んだ。
「碧くんも読むの?」
「いや、正直言うと、俺はあんまり……でも、読んでみようかな! 何かオススメあったら教えてよ」
碧くんは笑顔で話しているけど、なんとなく私に合わせてくれている気がする。
「今度、オススメ本ピックアップしますね。何冊かあるんで」
「ありがとう! 楽しみだなぁ」
って、答えてみたけど、それ以上、会話は続かなかった。
やっぱり、相性1%の恋って難しいのかな……と思った時だった。
「ねえ、陽葵の参加理由も聞いていいかな?」
ふいに碧くんから質問された。
「あの……」
どうしよう。なんて答えれば……。
その時、ピロロンッとタブレットの通知音が鳴った。
「これって……」
私が戸惑っていると碧くんが答えた。
「ミッション開始の合図だ」